グリーンランドの石の年代を測ろう!
今回の岩石試料は,北極域の島,グリーンランドから採取されたものです.ツアーでは,西グリーンランド南部のヌーク地域で採取された岩石の年代測定にチャレンジします!
グリーンランドは,南極とは地球の反対側の北極圏に分布する陸地です.地域のほとんどが氷床,万年雪に覆われ,フィヨルドという氷河地形がよく発達しています.
野外地質調査の際には,多くの入江や湖を縫って露頭(岩石が地表に露出した箇所)を探す必要があるため,ボートに乗り込みます.
今回年代測定を行う岩石は,トーナル岩質片麻岩という,変成作用を受けた花崗岩の一種です.トーナル岩は,地球で最初にできた大陸地殻をつくっていた岩石 (『TTG』※1)の一種とも言われています.岩石をよく観察すると,片麻状構造と呼ばれる縞模様があるのがわかります.
この岩石は一体いつ頃できたものでしょう?
年代測定する岩石試料の薄片を観察して,分析する鉱物を探してみましょう.
(注意:ここで掲載された薄片は2018年度一般公開ツアーで使用した岩石試料の
薄片であり,2019年度の岩石試料とは異なります.)
岩石の年代測定をするためには、薄片で見つけた鉱物(ジルコン)を、 岩石の中から取り出し、分析をできるように加工しなければなりません。 ふだん研究者が実際におこなっている鉱物分離と試料作製の手順をご紹介します。
★当日は顕微鏡で岩石や鉱物の観察も出来ます!
※1『TTG』:トーナル岩(tonalite)・トロニエム岩(trondhjemite)・花こう閃緑岩(granodiorite)の頭文字をとった略称。地球初期(太古代など)の地質体は主にこの3種の岩石から構成されており、地球初期の大陸地殻を構成していたと考えられている。これら3種の岩石は広い意味での花こう岩のグループに含まれるが、珪長質な花こう岩と中性の閃緑岩のとの間の,中間的な岩石である。