二次イオン質量分析ラボラトリー

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極地研探検2021 極地研に潜入! The☆年代測定

〜最先端の分析装置で、南極の石の年代を測ろう!〜
ナピア地図-v1

今回分析する石は、東南極 エンダービーランドナピア岩体マクマスター山から採取されたものです。ナピア岩体は、太古代※1の地質体で、「超高温変成作用」※2の痕跡を残しており、地球の大陸地殻進化の歴史やメカニズムを考える上で非常に重要な場所です。

ナピア岩体は、太古代(地質時代における40億年前から25億年前までの期間)の地質体で、『超高温変成作用』※2の痕跡を残しており、地球の大陸地殻進化の歴史やメカニズムを考える上で非常に重要な場所です。また、南極大陸で最も古い年代を示す鉱物も、ナピア岩体から見つかっています。

今回年代測定を行う岩石は、トーナル岩という花こう岩の一種です。トーナル岩は、地球で最初にできた大陸地殻をつくっていた岩石(『TTG』※3)の一種とも言われています。

ジルコン

岩石の年代測定をするためには、岩石に含まれる目的の鉱物(ジルコン)を、岩石の中から取り出します。こちらの写真は643.5gの岩石から分離されたほぼ全てのジルコンの顕微鏡写真です。643.5gの岩石から回収できたジルコンはたったこれだけ!!非常に貴重な試料です!

ジルコンのSEM
ジルコンのSEM 画像

電子顕微鏡で撮影したジルコンの化学組成を示した画像(組成像)です。これらの写真をみながら、分析箇所を選びます。皆さんも何番のジルコンを測ってみたいか、写真を見て考えてみて下さい!

※1: 太古代 地質時代における40億年前から25億年前の期間。

※2: 超高温変成作用 一度形成した岩石が、最初と異なる環境(地下深部への沈み込みなどで高い温度・圧力)におかれたり、流体の影響を受けたりすることによって化学反応を起こし、最初とは異なる鉱物や化学組成をもった岩石に変化する作用のことを「変成作用」と呼ぶ。そのうち、高温の環境(例えば500℃以上)におかれて岩石が変化する作用を「高温変成作用」、中でも900℃以上の高温環境で起こる変成作用を特に「超高温変成作用」と呼ぶ。この超高温変成作用を受けた岩石は高温変成岩の中でも珍しい鉱物組み合わせをもつこともあり、東南極ナピア岩体をはじめとした地域で以前から研究が盛んに行われてきたが、超高温変成作用を受けた地域自体が限られていることもあり、いまだに謎が多い現象である。

※3: TTG トーナル岩(tonalite)・トロニエム岩(trondhjemite)・花こう閃緑岩(granodiorite)の頭文字をとった略称。地球初期(太古代など)の地質体は主にこの3種の岩石から構成されており、地球初期の大陸地殻を構成していたと考えられている。これら3種の岩石は広い意味での花こう岩のグループに含まれるが、珪長質な花こう岩と中性の閃緑岩のとの間の、中間的な岩石である。