極地研探検2020 ツアー代替企画 The・年代測定
今回分析する石は、東南極 エンダービーランド ナピア岩体 アーケルピークから採取されたものです。ナピア岩体は、太古代※1の地質体で、「超高温変成作用」※2の痕跡を残しており、地球の大陸地殻進化の歴史やメカニズムを考える上で非常に重要な場所です。
今回分析する試料は、海外の研究者からSHRIMPラボへの分析の依頼があり、送られてきたものです。写真は、送られてきた試料(ジルコンという鉱物)を顕微鏡観察した写真等の情報です。
一度分析に使われた試料(樹脂包埋されたジルコン)を使って、再度試料として作り直しをしました。これを使って詳細な分析を行います。
高精度で信頼性の高い、微小領域分析を可能とするSHRIMPことSensitive high-resolution ion microprobe.
年代測定から微量な元素・同位体の分析まで、いろいろな分析でいそがしくはたらく機器ですが、今回は、みなさんが選んで下さったジルコンの年代測定をします!
電子顕微鏡で撮影したジルコンの化学組成を示した画像(組成像)です。こちらの写真を見て、測りたいジルコンの粒子の番号を(心の中で)選んで下さい。測定したジルコンの年代を、後日、結果発表としてホームページに公開しますのでお楽しみに!
※1『太古代』:地質時代における40億年前から25億年前の期間。
※2『超高温変成作用』:一度形成した岩石が,最初と異なる環境(地下深部への沈み込みなどで高い温度・圧力)におかれたり、流体の影響を受けたりすることによって化学反応を起こし、最初とは異なる鉱物や化学組成をもった岩石に変化する作用のことを「変成作用」と呼ぶ。
そのうち、高温の環境(例えば500℃以上)におかれて岩石が変化する作用を「高温変成作用」、中でも900℃以上の高温環境で起こる変成作用を特に「超高温変成作用」と呼ぶ。
この超高温変成作用を受けた岩石は高温変成岩の中でも珍しい鉱物組み合わせをもつこともあり、東南極ナピア岩体をはじめとした地域で以前から研究が盛んに行われてきたが、超高温変成作用を受けた地域自体が限られていることもあり。いまだに謎が多い現象である。